第1章

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 夕食後に一息ついて、テレビでも見ようかとリビングのソファに腰をかける。  すると、ユーゴが無言でリビングの入ってきて、当然と言わんばかりに真横にすっと座った。  「・・・・・・??」  ユーゴは何も言わず、人の顔を凝視している。  ・・・・・・なんなのかな? またお菓子のい催促なのかなぁ。  こんな夜にお菓子を食べたら体に良くないものね。催促されてもダメなんだから。  私はユーゴと目を合わさないようにして、テレビのスイッチを入れた。  テレビを見ていると突然ユーゴの指が頬に触れた。  人差し指で私の頬の柔らかさを確認するように、ぷにぷにと押し続ける。  「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」  怒ろうかと思ったんだけど・・・・・・。  無表情で頬を突き続けるユーゴには何を言っても無駄な気がした。  「あの・・・・・・ユーゴ?」  引きつった笑顔で、聞いてみる。  「ユーゴさん? 何をしているのかな?」  ユーゴは無表情のまま、まだぷにぷにと突き続ける。  「頬を触っている・・・・・・女のい子ほっぺは柔らかい」  ・・・・・・はぁ。  愚問、だったわね。  まともな答えが返ってくるとは思ってなかったけれど・・・・・・意味不明すぎるわよ。  「えーっと、ユーゴ? もういいんじゃない、柔らかいのはわかったでしょう?」  「確認してるわけじゃない、愉しんでるんだ・・・・・・」  今度は親指も使ってつねるように、さらにぷにぷにする。  「ほっぺた・・・・・・生クリームみたいにふわふわだ。ずっと・・・・・・触っていてもいいか・・・・・・?」  「あの、・・・・・・私はちっとも楽しくないんだけど」  「・・・・・・私の頬もやってみる? あなたのように柔らかくない、けど」  「そういう意味じゃなくって・・・・・・」  私は諦めて、ため息をつく。  「・・・・・・この柔らかさは、ステキだ。 マシュマロにも似ているし、白玉にも似ている・・・・・・つきたてのお餅より張りがあって・・・・・・」  ・・・・・・比較対象までお菓子、なのね。  別にいいけど、ここまでくると本当に私の頬がいいのか、お菓子を思い出すからいいのかわからないわね。  「ユーゴ! いい加減にしないと怒るからね」  
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