第1章-2

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 智也君は、この前おじいちゃんの書斎から持っていった小さな細長い箱を持っていた。  「2人で? ユーゴがいいって言えば、私はかまわなけど」  見慣れが智也君の顔なのに、見ているとなんだか不吉な予感がする。  多分、智也君がすごく真剣な顔しているから。  「悪いね」  「ううん。平気よ。智也君が女の子だったらちょっと複雑だけどね」  「それはよかった」  なんとなく落ち着かない気分をごまかすように冗談っぽく言ったけど、智也君は少しも笑ってくれなかった。  「先にリビングに行ってて。ユーゴを呼んでくるから」  「わかった。お邪魔します」  私はユーゴを呼びに行き。リビングで待つ智也君と引き合わせた。  私はキッチンでお茶の準備を始めた。  でも、さっきから2人のことが気になって落ち着かない。  何を話しているのかな?  智也君、前に魔物を封印する方法の本を呼んでいるって言ってたけど、その本のことでも聞いてるのかな?  でも、そんなこと私に隠すことじゃないし。  じゃあ、まさか、ユーゴを封印しようとしているとか!?  どうしよう? 気になる。気になるよ~。  「ちょっとだけなら、いいよね」  私は我慢できずに、コンロの火を消すと、こっそり廊下へ出て行った。  悪いと思いつつ、ドアに耳を押し付ける。  「これは、透さんの書斎で見つけた。聖別された銀のナイフだ。これなら、由緒正しい吸血鬼一族の末裔の君でも、大丈夫だろう?」  ナイフ? なんだか物騒な話ね……。  「そうだな。本当に聖別されていれば……っ!」  ふいにユーゴが息をのんだ。  ゆ、ユーゴ?  部屋の中に飛び込みたい衝動を懸命に抑える。  「間違いなく本物だろう?」  「ああ」  「いいか。君も男ならわかるだろう? 何かあったら、彼女を傷付ける前に、自分の胸を刺せ」  ……自分を刺す? それって……つまり……。  あまりのショックに一瞬前が真っ暗になる。  私は、壁に手をついて、なんとか自分を支えた。  「そうしたら……あなたは……ずっと彼女の側にいてくれる?」  「えっ?」  「嫌なんだ。私がいなくなった後、彼女が泣いているのかもしれないと思うのは」  「ああ。わかった。もし君に何かあれば、その時は、僕が責任をもって彼女を幸せにするよ」  ユーゴに何かあれば、智也君が私を幸せにする?
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