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嘘 a lie
『零くん。彼が、一週間、後君の相棒になる蜩朧くん』
朧が blackBart に本格的に入社する一週間前突然社長室に呼び出され、野口先輩と談笑している朧を紹介された。
『…黒鳥さん。冗談ですよね?』
『冗談? 僕は本気だけど?』
『…黒鳥さん。忘れたんですか?』
『なにを?』
『自分、いえ…あいつの存在を?』
『だから?』
零の言葉に黒鳥は首を傾げる。
『俺は…普通とは違うんです。そんな人間に相棒なんか必要ありません。それに…」
もう、大切なものを作りたくない。どうせ壊れるくらいなら。
『一夜君。君はもう一人じゃあな。君には僕達がいる。それに、ゼロだって、君の大切な一部だろう?』
『…そうなんですけど、あいつは、俺を危険から守る為なら、相手が誰だろうと…最悪の場合その相手を殺してしまうかもしれない。だから…折角の申し出なんですけど…』
『…蜩朧朧を推薦してのは…ゼロ自身だよ』
『えっ? それってどういうことですか?』
『彼をスカウトするか悩んでいた僕の背中を押してくれたのは、ゼロだよ! そして、ゼロは、彼を零君の相棒にする事に賛成してくれたよ?』
いま言ったのは半分嘘で半分本当。
でも、蜩朧を本当の意味でblackBartの一員にする為には…零それ以上にゼロの力が必ず必要になる。
だけど、その為に、一夜零個人に無理強いだけはしたくない。
それをするという、彼の裏人格であるゼロを敵に回す事になる。
それだけは…どうしても避けなければいけない。
『…そうですか? あっちの俺が……解りました。彼を……蜩朧を相棒として受け入れます』
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