コットン

　大好きな人が結婚してしまった。

　わたしの世界は閉じられた。

　彼の澄んだ声とともに朝がはじまり、彼の少年のような笑顔でもって過酷な労働を乗り切り、彼とのオフィシャルな語らいによって一日を終えていく。

　それらすべては、ガラガラと音を立てて崩れ落ちてしまった。

　それは突然だった。

　公式ブログにより報じられたその事実に激震が走ったのは、けしてわたしだけじゃないはずだ。

　たった四行の、短いコメントだった。

　かねてからお付き合いをしていた女性と、先日入籍を済ませたこと。

　彼女のお腹には、もう新しい命が息づいていること。

　相手は一般の方なので、プロフィールは一切明かす予定がないということ。

　そして、ファンのみんなには、これまで同様温かく見守って欲しいということ。

　それだけ。