コットン

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 でも、ネット内で飛び交っている話では、つまり、根拠も遠慮もない噂によると、二人はすでに一年も前から一緒に暮らしていたらしい。  そんなこと、というか、恋人がいることすら知らなかった。  これは。  わたしたちに、いや、わたしに対する裏切り行為ではないだろうか? 「あのさ、仕事する気がないんなら帰ってくれないかな。邪魔だから」  とっぷりと更けた深夜のコンビニは、静かだ。  レジから離れた雑誌売り場からの声も、よく届く。 「仕事する気はある。ただ気力がない」  わたしは、レジカウンターの上に仰向けで引っくり返っていた。  あとで防犯カメラの記録を観られたら、この怠慢にオーナーも引っくり返ることだろう。  即座にクビである。  でも、事故か何か事件でも起こらない限り、いちいち映像のチェックなんてしないことを知っているので、別に怖いものなんかない。 「それって一緒じゃないの。要はやる気がないってことでしょ」
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