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う~ん、と言葉を濁すわたしは、別に悔しいとは思っていなかった。
恋は振り回されてなんぼ、と解釈してもいた。
「でもさ、これまで通りにバイトから帰ってきて、習慣的にブログひらいちゃったりしたら悲しいじゃん。そこにいるのはもう、今までの彼じゃないんだからさ」
それは嘘偽りない、本心だった。
進藤の動きがせわしなくなった。
バサン、バサン、と埃が立ちそうな乱暴な音を立てて、新品の本を棚に並べる。
「とにかく、今辞められたら困るから。この時間帯のバイトは人が少ないんだ。知ってるでしょ。シワ寄せは全部オレに来るんだよ」
「新しい子、すぐに入るって」
無責任な提言をしてみる。
進藤は聞く耳を持たない。
「新年会の幹事だってさ、今までいちばん下っ端のオレら二人でやって来たのに、お前がいなくなったら、オレが全部ひとりでやるしかないじゃないか。ごめんだよ」
「あぁ、アレ、面倒だよねぇ。二十四時間営業だから、みんないっぺんに参加できないし。おばさんが多いから、昼間からの開催だしさ。わたしたちなんて、終わったらそのまま夜のシフトに直行じゃん。やめちゃえばいいのに」
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