ガラス色の雪

第1章 どこにいても

　遠い異国を一緒に旅をしたわんこが帰る飛行機に乗る時に何らかの手違いによってアメリカに置き去りにされる。そんな話をどこかで見た気がした。

　ああ、そうそう。あれは電子辞書の中に入っていた英語小説だったかな。

　犬だろうと猫だろうときっと皆同じ。諦めずにご主人様を探して探して旅をする。

　私もいつか旅をするのだろうか。
　中学一年生ではどこも雇って貰えないけど、月に一度のお小遣いとお年玉を私はコツコツ貯金した。そして地元のお墓でボランティアのお手伝いをすると、少しだけどお駄賃を貰えたから、それも全部貯めた。

　東京まで行くための旅費がいくらするのかも知らないで、ただひたすらにコツコツと貯めていく。晴馬に会いたい気持ちも塵も積もれば山となる。