第1章 どこにいても

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 晴れた空を見るとあなたを思い出す。  寂しがりで甘えん坊な私を包むように抱きしめてくれた大きな身体。癖のある黒髪と、細い線の端整な顔立ちの割に太い眉毛が凛々しい十八歳。  幼い私の唇にかすめるようなキスをしてくれた、初恋の人。  彼と私は十歳差。  出会った時の私は八歳。  まだまだ幼さ残る子供だったけど、心は乙女だった。  強烈な印象を残す出会い方のせいもあって、彼は 忘れたくても忘れられない人だった。
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