第2章 だれといても

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 浅い眠りの中でそんなことを考えていると、どんどん脳が覚醒してきた。  晴馬の気持ちよさげな寝息を聞きながら、とうとう起き上がってベッドに座る。疲れた体を朝までしっかり休めてもらいたくて、私はそっと抜け出した。灯りをつけないでリビングのソファに座ると、また脱衣所で見たシルエットが台所の付近に立っていることに気付いた。 「あなたは誰ですか?」  黒い影は少しずつ光と色彩を帯び始める。 「私になにをさせたいんですか?」  顔も見えないその霊を見詰めながら、私の心にはかれんちゃんの家族に注目していた。
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