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むかしむかしあるところに、おじいさんとおばあさんがいました。
おじいさんは山へ柴刈にへ、おばあさんは川へ洗濯に出かけました。
おばあさんは洗濯から戻り、家でゆうげの支度をしていました。
しかし、待てども待てどもおじいさんは戻って来ません。
「何かあったのかしら?」
彼女は気が気ではありません。
※
老夫婦は村で知らない人はいない程、仲睦まじいと有名で、まるで結婚したての様に、人目を気にせず常にふたりでいるのを村人達は見ていました。
ただ、ひとつだけ分からない事がありました。
彼がどこから来た者なのか、村人の誰も知らなかったのです。
彼女はこの村の生まれで、若い頃から美人だと有名だったのですが、ある頃から突然男性と住むようになりました。
「あれはどこの誰だ?」
おばあさんを好意の目で見ていた若者達の間で、そんな話が出ましたが、ふたりは常に一緒なので話を聞く事が出来ません。
「うだうだと考えてもラチがあかねぇ! 今夜、あの家を訪ねて話を聞いてくらぁ」
血気盛んな若者は、仲間達にそう告げました。
次の日、彼は白髪になって亡くなっていたのを河原で発見されました。
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