第二章 落ちこぼれ

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 燃えるような、鮮やかな紅玉の瞳に、やわらかそうな桜色の唇。そして何よりも目を惹く黄金の髪が、なんとも魅惑的かつ幻想的だった。ただ教科書を読んでいるだけなのに、とても絵になる光景だった。    「初めまして。今日からよろしくお願いします」  まずは、クラスに馴染むことが最優先――そう考えたリオンは、隣の女子生徒に挨拶をした。  だが――  「――フンッ」  一瞬だけこちらに視線を投げ、またすぐに本へ視線を落とした。  どうやら、あまり歓迎されていないようだ。  リオンはこれまで、様々な潜入任務をこなしてきた。他国の騎士団、研究施設、闇組織……。  潜入に最も大切なことは、警戒心を解き、信用されることだ。  だが、十代半ばの多感な時期にある生徒達から信用を得るには、相当苦労しそうな気がした。  案の定、ホームルームが終わるとすぐ、リオンの周りにはちょっとした人だかりができていた。  「ねえねえ、リオンくん! この時期に編入って何か理由があるの?」  「てか、理事長からの推薦があったって本当!?」  「アスクライヴって姓は聞いたことないけど、どこの貴族だ?」  「ねぇ彼女とかいる!?」  クラスメート達からの怒涛の質問攻めに、流石のリオンも目を白黒させた。     
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