第二章 落ちこぼれ

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 本当のことを言うわけにもいかず、かといってぞんざいな対応も悪印象を与えかねない。上手く誤魔化しながら一つ一つ質問に答えていったリオンは、最後はぐったりと机に突っ伏していた。  (なんだこれ……今までの任務で一番キツイぞ! 思ってた以上に大変な仕事になりそうだ……)  一限目の授業のチャイムがなり、生徒が各々席へ戻る中、リオンは引き攣った表情で乾いた笑みを漏らした。  慣れない経験をしたせいで、油断したのかもしれない。自分に向けられたとある視線に、リオンは最後まで気づくことはなかった。 ◇◇◇  放課後、リオンはある校舎の裏に来ていた。  周囲を警戒し誰もいないことを確認すると、左手にはめた機械じみた金属製のブレスレットを顔に近づけた。  「――こちらセカンド。聞こえるか?」  「こ、こちらシックス。聞こえます」  ブレスレットから聞こえてきたのは、ミリアの声だった。  これは、魔術を応用して遠くにいる人と会話を可能にした、通信機器だ。  ちなみにセカンドやシックスは、任務時に使うリオン達のコードネームである。  学院外でリオンのサポート任されたミリアは、おそらく街のどこかで待機をしているのだろう。     
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