第二章 落ちこぼれ

5/10

35人が本棚に入れています
本棚に追加
/44ページ
 これからは、クラスに馴染みつつ教団に繋がる情報を入手しなければならない。一体誰なのか、何をしようとしているのか、目的は何なのか。  やるべきことは山積みだ。あまりのんびりしている暇はない。  ミリアからの調査書が届くまでの間、何もしないわけにもいかないだろう。    「こっちはこっちで、調べてみるか……」  独りごちたリオンは、とある場所へ歩き出した。 ◇◇◇  アレスティア魔術学院最大の特徴と言えば、帝国で一番大きな図書館が設立されていることだろう。  九千万冊以上の蔵書数を持つ本館は、一般の書物から魔術書まで幅広い分野のものが揃っており、学生のみならず、一般人や学者も多く利用している。    館内に入ると、紙とインクの、古書特有の匂いが漂っていた。広々とした空間には、夕暮れ時にもかかわらず、大勢の人が静かに読書に耽っている。  学生の勉強スペースになっている二階に上がると、さらさらとペンを走らせる音があちらこちらから聞こえてきた。  本棚を挟んだ奥に、ズラリと木製の机が並べられている。生徒の数はまばらで、まだいくつか空席があった。  適当に空いている席に座ろうとした時、見知った顔を発見した。  編入初日、隣の席になった金髪の少女――スフィア・エルネスク。挨拶の後も何度か声をかけたが、悉く無視されてしまっていた。     
/44ページ

最初のコメントを投稿しよう!

35人が本棚に入れています
本棚に追加