第二章 落ちこぼれ

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 魔術の勉強だろうか。時折本を見ながら、やけに熱心にペンを走らせていた。  もう一度だけ、声をかけようか……そう思った時。  スフィアの背後から、二人の女子生徒が近づいてきた。見たことのない顔からして、おそらく他のクラスの生徒だろう。  そのまま、通り過ぎるのかと思いきや――そのうちの一人が、スフィアにぶつかったのだ。  「あー、足が躓いちゃった! ごっめーん!」  「えー大丈夫? ていうか、コイツなに必死なんて勉強してんの? 『落ちこぼれ』のくせにさぁ」  「どーせやったって、意味ないのにねー」  一部始終を見ていたリオンにはわかる。あれはどう考えてもわざとだった。それに、『落ちこぼれ』とはどういうことなのだろう?  スフィアは一瞬、悔しそうな表情を浮かべたが、すぐに気丈さを取り戻した。  その後、二人の生徒は何も言い返してこないスフィアに飽きたのか、笑いながら去って行った。  そのまま何事もなかったかのように勉強を再開するスフィアに、声をかけて良いものか躊躇ったが、意を決して話しかけることにした。  「――ここ、座ってもいいかな?」  向かい合う形で椅子に腰を降ろしたリオンを見て、スフィアは大きく目を見開いた。  「あんた……何? あたしに用事でもあるの?」     
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