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「用事って言うか……せっかく隣の席になったんだし、仲良くしたいなーと。ほら、これから共に魔術師を目指す仲間としてさ」
内心を悟られないように、とにかく自然体を心がけながらそう言った。
リオンの演技は完璧だった――が、彼女は靡くことなく一蹴した。
「仲間――ハッ、冗談じゃないわ。なんであたしが学校の連中と友達ごっこしなきゃいけないわけ? あんたバカじゃないの? そんなに馴れ合いが欲しかったら、他を当たることね編入生」
中々の跳ねっ返り娘だった。
あんたに用はないとばかりに、黙々と学習を再開するスフィアに、思い切って尋ねた。
「あのさ、さっきのことなんだけど……」
「――あんた見てたの?」
氷のように冷たい視線のスフィアに、リオンは動揺した表情を作って見せる。
「た、たまたま目に入っちゃって。それで落ちこぼれって聞こえたんだけど、あれってどういう意味?」
リオンの質問に、言うか言うまいか逡巡した後、スフィアは俯き、低いトーンで言葉を紡いだ。
「……そのままの意味。あたしは落ちこぼれなのよ。名門貴族として生まれながら、碌に魔術も使えない落ちこぼれ――それが、あたし」
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