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「スフィアが今までどんな目に遭ってきたかなんて、俺にはわからない。だけど、散々嫌がらせを受けても挫けず、魔術師を目指して勉強するキミをバカになんてしないし、笑っていいはずがない。一生徒の俺じゃ、キミを虐めから助けることも、問題を解決することもできないよ。――ただ、孤独から救うことはできる。俺は、才能や権力を盾に、必死になる人間を嘲笑う奴より、惨めでも諦めず前へ進む奴の方がカッコいいと思うし、好きだぜ。だから、俺と今後も仲良くしてくれないか?」
演技でも虚言でもなく、純粋に、心から思ったことを口にした。
「な、なななっ……!」
なぜか顔を赤くしたスフィアが、金魚の如く口をパクパクさせていた。
「どうかした? 俺、なんか気に障るようなこと言ったか?」
怒らせてしまったと勘違いしたリオンが、心配そうに顔を近づけた。
「す、すすす好きにすればっ!? あたしもう行くから! じゃあねっ!」
動揺を隠しきれないスフィアは、慌てて帰り支度をすませると、そそくさと逃げるように去って行ってしまった。
ポツンと、一人残されたリオンは、
「……女子って、難しいんだな」
この潜入が高難易度であることを、改めて実感したのだった。
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