第三章 いま、自分にできること

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 その中から、ロイド先生は一人を指さした。  「魔術には、肉体や精神を司る『白魔法』と元素や物理現象を司る『黒魔法』、そして異界より眷属を呼び出し使役する『幻魔法』の三種類です」  当てられた生徒は、考えることなくすらすらと答えた。  「うん、正解だ。よく勉強しているようだね。そう、魔術は大きく分けてこの三種だ。もちろん、そこから白魔法なら『強化魔法』や『干渉魔法』、『治癒魔法』など細かく分類されていく。黒魔法も然り。――ただ、幻魔法は例外だ。これについては……アスクライヴくん、わかるかい?」  突然の指名に、リオンは驚いた。当然わかるが、まさか編入生を当てるとは思ってもみなかったのだ。  皆の視線が集まる中、リオンは一瞬迷った後、口を開いた。  「他の二つは、情報体(コード)を書き換えることで発動するれっきとした技術体系です。ですが、幻魔法は魔術を技術として確立する際に偶然発見された産物です。故に、扱える者はほとんどおらず、未だに詳しいことはわかっていません」  そこまでは良かった。教科書通りに答え、ちゃんと復習できていますね――そう言われて終わるはずだった。  だが、リオンの話はそこで終わらなかった。     
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