第三章 いま、自分にできること

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 「――ですが、術者の意識が異界とリンクすることで発生するエネルギーが世界法則を書き換え、本来存在しえないモノを召還するという研究がされました。人間の意識拡張が魔力によって時空を超越し、異世界との接続することで幻魔法はすると。実際にまだ、この説を基にした実験は成功していませんが、自分の観点からすると、術者の想像力が大きく関わっているのではないかと思います」  リオンが話を終えると、辺りはシーンと、時が止まったような静けさが支配していた。  ポカンと口を開けたクラスメート達が、リオンを凝視している。  「す、素晴らしい回答だアスクライヴくん。――みんな想像以上に勉強しているようだし、復習はここまでにして、実技を始めようか」  ロイド先生の声で我に返った生徒達は、ちらちらとリオンを見るも授業に戻っていった。  隣のスフィアからも、「あんた何者……?」と言いたげな視線を送られるが、リオンはただ愉快そうに笑みを浮かべるだけだった。 ◇◇◇  魔術の発動に必要なもの。それは、情報体(コード)を書き換えるための魔法陣、そして魔力だ。  魔力とは、『オド』と呼ばれる自然界のエネルギーと、己の体内に宿る『マナ』と呼ばれるエネルギーを練り合わせることで生成される。  生物には例外なく『マナ』が存在するが、外界から『オド』を取り込む作業ができるかどうか――これが、魔術師になれる人間とそうでない人間の違いだろう。     
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