第三章 いま、自分にできること

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 また、生成した魔力の操作も魔術師には必要不可欠なスキルだ。行使したい魔術に必要な魔力を流さないと術は発動しない。多くても少なくてもダメだ。最悪の場合、反動(リバウンド)と呼ばれる現象が起き、術者に何らかの影響がでてしまう。  故に魔術師は、魔術よりもまず魔力操作を身につけるのだ。  「――で、スフィアは何やってるんだ?」  そこには、「んがぁぁぁッ!」と女性らしからぬ奇声を上げるスフィアがいた。    「見てわかんないのッ!? 魔力操作の訓練よ!」    スフィアの全身から、吹き出すように魔力が溢れ出ている。が、コントロールというよりただ放出しているようにしか見えない。  完全に気合が空回りしていた。  そもそも、今の段階で魔力操作ができていないのは彼女くらいだろう。  他のクラスメートは、余裕綽々の態度で魔力を操り、全身を綺麗に覆うようにして纏っていた。  いつもの光景なのか、その様子をバカにしたような表情で観察する生徒達。中には、囃し立てる者もいた。  「――なんで! なんであたしにはできないのッ!?」  よほど悔しいのか、少し涙目で叫ぶスフィア。  それを見て、「はあ……」とため息を吐いたリオンは、スフィアの肩に手を置いた。  すると、スフィアを覆っていた膨大な魔力がリオンを伝って、外へ逃げていく。     
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