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「魔力の練り方が雑すぎ、後逃がし方も下手くそ。それじゃあ、上手くコントロールなんてできっこないだろ……。もう魔力は練らなくていい、この状態でやってみろ」
そう言われ、スフィアは訝し気な表情でリオンを見るが、渋々言われた通りにやってみる。
すると――
「えっ!? できてる! ちゃんと操作できてる!」
まだまだ粗く危なげではあるが、さきほどと違い、全身を守るように魔力の膜がスフィアを覆っていた。
元々、スフィアは生まれつきマナの量が多かったのだろう。それに合わせてオドも大量に取り込み必要以上の魔力を生成してしまっていた。
おまけに、余分な魔力を外に逃がすこともできていなかったため、上手くコントロールしきれなかったのだ。
「余計な魔力は逃がすこと。これさえできれば、すぐに魔力操作はマスターできるよ」
「あ、ありがと……リオン!」
ぱっと顔を明るくしたスフィアは、よほど嬉しかったのか、リオンの手を握るとブンブン振った。
されるがまま、はしゃぐ子ども見守るように見つめるリオンは苦笑した。
そんな光景を見ていた周囲にもどよめきが起こった。いくら練習しても上達しなかったあの落ちこぼれが、魔力操作を身につけた――幻を見ている感覚だっただろう。
が――
「その程度の魔力操作ができたくらいではしゃいでんなよ、『落ちこぼれ』が」
粗野で、傲慢な声が轟いた。
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