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声の主は、嘲笑うようにスフィアを見下した目で見ていた。
がっしりとした体格、自信たっぷりの眼差し、相手を威圧せんばかりの態度。
名前はたしか――ガリユス・ガスパール。
彼から漏れだす魔力は、まるで血のように赤く黒い輝きを放っていた。
力強く、されど正確にコントロールされた魔力の膜は、リオンの目から見てもかなり上手く制御できていると思えた。
「落ちこぼれはそれらしく、隅っこで練習しながら自分の無力さを噛み締めてりゃいいんだよ!」
ガリユスは乱暴な口調でそう言うと、今度はリオンに鋭い視線を向けた。
「だいたい、てめえはなんなんだ編入生? 姓も聞いたことねーし、ただの有象無象かと思ったら、さっきの幻魔法の説明といい、魔力操作の教え方といい――何よりも貴族のくせに弱い奴に構ってるプライドの無さが気に入らねぇ!」
そんな無茶苦茶なこと言われても……と、流石のリオンも困惑する。
「俺が誰と喋ろうが、誰と練習しようが、キミには関係ないと思うけど?」
「その態度が気に入らねぇって言ってんだよッ!」
今にも掴みかかってきそうな雰囲気だった。
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