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要は、実力のない落ちこぼれを孤立させ、見下すことで自分達は優越感に浸っていた。が、そこへ現れた編入生によってそのカーストが崩れはじめた。実力主義の貴族達からしてみれば、面白くないのだろう。おまけに、落ちこぼれだったスフィアが上達し始め、ついに焦りが浮き彫りになった――そんなところだろうか。
ガキの陰湿な嫌がらせなんてそんなものだ。リオンはこれ見よがしに肩をすくめ、言い放った。
「困ってる人に手を差し伸べるのも貴族の務めだろ? まさか、今まで下に見ていた人間に追い抜かれるのが怖い、なんて思ってないよな?」
「て、てめえ……」
リオンの小馬鹿にした態度が、ついに彼を爆発させた。
「――だったら、俺と決闘だ。俺が勝ったら、卒業するまでてめえは俺の駒になれ」
「いいぜ……その勝負乗った。俺が勝ったら、地面に額擦りつけてスフィアに詫びろ」
もう互いに引く気はなかった。
張り詰めた空気の中、行く末をじっと見守る生徒達。
一触即発の雰囲気で、こほんと、場違いな咳払いが響いた。
「えー、キミたち。今は一応授業中だからね? まあこうなっては仕方がない……決闘を認めよう」
ロイド先生の一言で、その場にいた全員がざわめいたのは、言うまでもない。
◇◇◇
「――あんた、ほんとバカじゃないのッ!?」
耳元で叫ばれたせいで、キーンと耳鳴りがし、リオンは顔を顰めた。
決闘の準備が整う間、リオン達は訓練所で待機していた。
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