第三章 いま、自分にできること

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 「ガリユスって言ったら、学年でもトップの成績で、将来は『銀翼の騎士団』入りも期待されてる候補生! しかもガスパール公爵家……退学なんかじゃ済まないかもしれないのよ!?」  捲し立てるように説明するスフィアに、バレないように鼻で笑う。  あの程度で銀翼の騎士団……笑えない冗談だ。  「大丈夫だって。スフィアはアイツの処遇でも考えとけばいいんだよ」  自信ありげなリオンの様子に、ソフィアは何か思いついたように、ポンと手を叩いた。    「何か秘策でもあるのね? たとえば、すごい作戦とか!」  「んー、いやないね」  「じゃあ、一発で倒せるような強力な魔術が使えるとか?」  「ない。第一、俺は魔術なんて使えないぞ」  「じゃあ――って、はあぁぁぁ!?」  まさかの爆弾発言に、思わず奇声を上げる。    「ま、魔術が使えない!? あんたはちゃんと魔力操作できるんでしょ?」  「そうだけど、なんか俺の魔術回路に異常があるらしくて……物理的に使えないんだよね」  これは、演技でもなんでもなく、事実、リオンは魔術が一切使用できない身体なのだ。  生まれつきなのか、原因不明の病なのか、もしくは何かの呪いか――幻影騎士団に入った頃も、幾度となく原因を調べたが、結局わからずじまいだった。     
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