第三章 いま、自分にできること

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 だが、魔術が使えなくてもリオンには精密な魔力操作と、魔術すら斬り裂く卓越した剣技があったかげで、序列二位の座まで昇りつめたのだ。  今思えば、団長がこの学院にリオンを潜入させた理由は、魔術が使えない原因を解明するための糸口を探すためでもあったのかもしれない。  だが、そんなことなど知る由もないスフィアの顔は、不安気で、血の気の失せて青白くなっている。  「今からなら、まだ許してもらえるわ! もうあたしのことはいいから!」  そんなことを言いだした。  「何言ってんだ。もう遅いし、あんな奴に頭下げるなんてまっぴらごめんだね。――それに、わざわざ目立つように仕向けたんだ、上手くいってもらわねーと困る」  「……え? 最後の方聞き取れなかった。なんて言ったの?」  「――いや、なんでもねーよ」  当初、リオンはクラスに馴染んでから情報を集めようと考えた。  だが、あえて注目を集めることで教団のスパイに勘繰らせることで、相手の方からアクションを起こさせる作戦にシフトしたのだ。  理事長からの推薦で編入し、早々に決闘騒ぎを起こす生徒。学院内はリオンの話題で持ちきりになり、スパイがリオンの素性を嗅ぎまわるのに適した環境が出来上がるわけだ。危険な行為だが、そうなればこちらの思う壺。後は不審な動きのした者を捕らえるだけだ。     
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