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すでに、あらかじめミリアにこの作戦のことを伝えていた。怪しい行動をする者がいないか、彼女もどこかで監視しているはず。
準備は全て整った。後は決闘を利用して、獲物を炙りだすだけだ。
――そして、その時が来た。
噂を聞きつけた他の学生や教師など大勢のギャラリーが集まっていた。
「想像以上に集まったな……。どうだ編入生、全学院生徒の前で地を舐める気分はよぉ?」
向かい合うようにして立つと、ガリユスは己の必勝を信じた笑みを浮かべた。
まだ勝負すら始まっていないのに、そんなことを抜かす憐れな貴族様。他人を食い物のように扱い、自分の思い通りにならないことを決して許さない――そんな口先だけの人間など、リオンは吐き気がするほど見てきた。
そして、そんな人間ほどリオンの正体を知った時、自らの敗北を悟った時、こう言うのだ。
――命だけは助けてくれ、と。
――もう許してくれ、と。
生徒ではなく、何度も修羅場を潜ってきた一人の魔術騎士としての顔つきで言った。
「――さーて、お前は一体、どっちだろうな?」
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