第二章 落ちこぼれ

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第二章 落ちこぼれ

 「リオン・アスクライヴです。中途半端な時期からですが、皆さんと一緒に学ぶことになりました。よろしくお願いします」  一年二組の教壇で、リオンは当たり障りのない、素っ気ない自己紹介を済ませた。  彼に課せられているのはあくまで潜入という名の任務だ。確実に成功させるためには、注目を集めることも悪目立ちすることも避ける必要があった。  そんなリオンを見つめるクラスメート達の反応も様々だった。  興味津々な視線を送る者、探るように隣同士でひそひそと会話する者、無関心な者……。  できれば、路端の石程度の認識をしてもらえると好都合なのだが、編入生というだけでも注目されてしまうのが常だ。今後は、とにかく目立たないように行動しなければならない。  「アスクライヴ君、君の席はあそこだ」  担任教師のロイド・マスティアスが一つだけ空いている席を指さした。  ひょろっとした身体に、人当たりの良さそうな顔。虫一匹殺せなさそうな印象の教師だった。生徒からの人望も厚いように思えた。  指示された通り、最後列の一番窓側の席に座ったリオンは、ふと隣に座っていた生徒を見た。  そこには、熱心に魔術の教本を黙読している少女がいた。     
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