2.想い

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夏休みということもあり、ゲームセンターは混んでいた。 家族づれ、男女のグループ、大人っぽい高校生の人たち。 周りは話し声と機械の賑やかな音で溢れかえっている。 どこからかゲームオーバーの曲も流れている。 陽介「今日はすごいね!なにからしようか?」 順一「あ、コインゲームやろうぜ?少し空いてるぞ」 香苗「いいね!やりたい!」 3人はまずコインゲームから始めることにし、それぞれ好きな席に着いた。 キラキラと光るコインや画面、ポップな音楽に効果音。 すべてに胸が高まる。 手元のコインをどんどん入れていく。 まるで吸い込まれるようにコインは流れていく。 *** その後、3人はUFOキャッチャーやリズムゲームを楽しんだ。 今日の記念に、と香苗がプリクラを指差し、カーテンの奥へ入る。 合図の声と共に眩しいフラッシュが光る。 香苗を男子2人の間に挟むように写真を撮った。 落書きは交代で描くことにした。 色鮮やかなスタンプやペンが画面に浮かんでいる。 陽介「あー!順一くん笑ってる!」 香苗「ほんと!いつものムスッとした感じじゃないね!」 2人は画面を指差し笑う。 順一は画面の顔より一層ムスッとしている。 順一「言っただろ?元からこういう顔だろ?」 香苗「えー、でもこの笑顔はすごくレアじゃない?普段笑わない人の笑顔は素敵っていうけど、順一の場合レアすぎるよ!」 陽介「そうだよ!それ普段からしてたら絶対モテるよね!」 順一「おい、変なこと言うなよ。2人の前だから楽しくて当然だろ。自然に笑うわ」 うっわ素直なのも珍しい!と、陽介が茶化すと順一はジロリと陽介をみた。 まるで制止を掛けているようだが、陽介はこわい、こわいと言い、あまり効果は無かったらしい。 香苗もそんな2人を見て思わず吹き出してしまった。 そして、ほとんどのゲームをしたところで、香苗がトイレに行った。 少し休憩だな。と順一と陽介は近くの椅子に腰を下ろす。 賑やかな音が2人を包んだ。
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