2.想い

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○香苗 3人の仲はまるで本当の兄弟のように仲良くなり、中学3年になっていた。 両親が多忙で留守がちな順一。 母子家庭の香苗。 いつも喧嘩が多い家庭の陽介。 似たような寂しさ、悲しさが3人の仲を一層深くして、一緒に過ごす時間も多くなっていた。 誰かが辛い時は互いの家に集まったり、話を聞いたりしていた。 やがて思春期を迎え、体と心も共に成長し、男女を意識する時期だった。 クラスメイトは、誰が誰を好きとかカップルになった、別れたなどの話でよく盛り上がっている。 もちろん、それは仲のいい3人にも同じ質問を振られるが、恋の話などは今の所なかった。 「ねえ、香苗は2人のどっちが好き?」 ある日の昼休み、女子のグループの一人に香苗は質問されていた。 香苗「えー…うーん、考えたことなかったなぁ…」 首を傾げて、考えてみるがどうもいい答えが浮かばない。 「あんなにかっこいい男子、幼なじみなんて羨ましいよ!いいなー」 クラスメイトはこの3人の関係に興味津々だった。 大人しく、ゆったりした性格の香苗と、 無愛想だけどとても友達思いの順一、 明るい陽介の関係はクラスメイトの誰が見ても楽しそうな空気でよく羨ましがられた。
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