第三章 誰が為

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第三章 誰が為

思い出を作るといっても、要と紘介はそこまで暇な訳ではなかった。 スケジュールを照らし合わせてみると、それぞれ既に決まっている予定があり、頻繁には会うことができないことがわかった。 要は大学でフットサルサークルに入ったため、サークル内での集まりが夏休み中にも時々あるらしい。 また、バイトをしているためシフトによっては集まることが難しくなる。 紘介はバイトはしていないが、夏休み中は勉強と家のことで忙しいと話していた。 紘介の弟は高校生で野球部に入っている。 県内有数の野球強豪校で夏休みは部活漬けのため、基本的に家のことができるのは紘介と祖母だけだ。 一応家事の分担をして弟と父親にも手伝ってはもらっているものの、夏休み中は紘介の分担量が自然と増える。 それに加えて最近祖母の足の具合があまり良くなく、病院の付き添いなども紘介がしているようだった。 瞬一だけが特にこれといった用事がなく、暇だった。 そのことが何だか恥ずかしく感じたが、紘介と要は逆にそれを羨ましがっていた。 暇なら暇で、たくさん牡丹と思い出作りを二人ですれば良いと提案され、瞬一はまた何となく壁を感じた。     
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