第三章 誰が為

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もちろん瞬一を除け者にしようとして言った訳ではないとわかってはいるが、自分一人だけがやはり異質な存在として認識されているように感じたのだ。 とりあえず次に三人の予定が合うのは、来週の火曜日ということがわかった。 要は海に行きたいと提案したが、海は焼けるし潮風がベタついて嫌だと紘介が却下した。 プールという案も出たが、牡丹が見えて触れられる自分だけが挙動不審者のように周りから見られる可能性があると言って瞬一が却下した。 結果、残った案の中からなぜか登山が採用された。 登山は三人とも乗り気じゃなかったのだが、牡丹が登ってみたいと急に言い出したのだ。 成仏してもらうには、牡丹ちゃんの言うことが最優先!と要が言い出し、それに紘介も賛同したため、瞬一もそれに従う他なかった。 あまり乗り気ではない瞬一を見て、牡丹は他の場所でも良いと言い出したが、それは要に却下された。 どこの山を登るかは後日決めるということになり、二人は瞬一の家を後にした。 牡丹をまた二人きりになり、瞬一は少し緊張した。 「山登り、すごく楽しみです」 牡丹は瞬一を見て嬉しそうに笑う。 「何で山登りなの?」 「えっと、それは・・・・・・昔、宗太郎さまと山に登ったことがあるんです」 牡丹は昔を思い出すように遠くの方を見た。     
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