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男は立ち上がり上着を脱いだ。 手汗が異常に出てくる。 暑い、暑すぎる。 涼しさを求めどんどん服を脱ぎ続けた男はパンツ一枚にまでなった。 「暑い、暑い暑い暑い暑い!」 ふと、老婆から渡された手鏡を覗いて見た。 そこに写っていたのは炎に包まれ、髪は焦げ落ち、肌は焼け垂れ眼球は蒸発している自分の顔だった。 「うわあああああ!お、思い出した・・・。俺はあの時火事で死んだんだ」 振り返ると顔の青白い人々が俺の後に付いていた。 「あぁ、そっか。俺はもう行かなきゃいけないのか」 男は暑さを忘れ、再び虚ろな目で暗い夜道を歩き出した。
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