第1章

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『悪い事をすると自分に返ってくる』 誰もがよく知った言葉であり、全世界の親が幼い子供にこう言い聞かせるものだ。 文字通りにこれを信じた子供達は、出来る限りいい子でいようと努めるのだが、残念ながら世の中は、案外『悪い事』をしても、融通が効いたりする。 これを知った子供達が、どんな気分を味わったかどうかは定かではないが、今日、どの場所、どの時間においても、『悪事』とやらが無くならないのは、それを知った彼らが大人になったからだろう。 「───優香、チョコで良かった?」 蝉の声が鼓膜をビリビリと震わせる中、秀秋は木陰のベンチに座る恋人に向かって言った。 「バニラかチョコしか無かったから、2つ買ったよ。」
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