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「チョコで大丈夫。ありがとう、いくらだった?」
「いいよ、金は。俺が勝手に買ってきただけだから。」
買ったばかりなのに、既に溶け始めたソフトクリームを彼女に渡すと、コーンを巻いていた紙を引きちぎった右手で、器用にそれを丸めた。
彼は日向の下、かげろうに揺られて見えるゴミ箱を横目で見た次に、目の前の垣根のフェンスへ視線を移した。
人を1人殺せる暑さだ、と彼はぼんやり考えていた。
「いいの?」
彼女は上目遣いで、申し訳なさそうに彼を見た。この上目遣いさえ見れれば、彼にはご褒美だった。
「いいよ、高いモンじゃないしさ。」
そう答え、秀秋は丸めた紙くずを、垣根のフェンスより遥か上に向かって勢い良く投げた。
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