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それから1週間が経過したが、秀秋と彼の恋人との距離は、相変わらずだった。
彼自身、既に諦めかけていたし、実際、それが元どおりになりそうな希望も無かった。
「中野くん、これやっておいて。」
「はい!」
バイト先では、これが彼のスタンスとして定着していた。
彼は言われた仕事ならば、何でもやると周囲は思っていたし、実質それで甘い味を占める者も多数いた。
しかし彼には、どうする事も出来なかった。
彼の心は、『悪い事をすればしっぺ返しを食らう』の恐怖に支配され、いつでもそれに怯えていた。
いつか精神が参ってしまうに違いない、と彼は思っていたが、それが今ではないことが救いだった。
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