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ホテルは毎回、都内の高級ホテルを指定してくる。亨の家系の経営しているホテルとのことで、格安で借りられるらしい。足取りも重くロビーに向かい、言われるままエレベーターで目的のフロアを目指す。指定の部屋を、コンコン、コンコンコン、とノックすることが合図だった。
「浜田さんいらっしゃい」
スイートではないがベッドが二つある広い部屋の中、テレビの前にあるソファにゆったりと腰掛けたまま、亨はにっこりと笑みを浮かべて右手の鞭を掲げて見せた。
「じゃあ、脱いでください」
良樹は一つ舌打ちをすると、貴重品とスマートフォンだけを入れたボディバッグをクローゼットに入れ、ジャケットから順に同じようにクローゼットのハンガーに移して行く。ジャケット、シャツ、インナー、ズボン、靴下、トランクス……一つ一つを自ら剥ぎ取るように脱ぎ、最低限の抵抗として丁寧に、きちんとハンガーに下げていく。そして良樹は膝立ちで座り、両手両足を揃える。すると亨は準備していた細いロープで、以前と同じようにしっかりと縛り上げた。
「……始めましょうか」
満足そうに結び目に触れてから立ち上がり、享はピシッと鞭を鳴らす。良樹は打たれるのを待つより他なかった。
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