さよなら、花嫁。

｢え？え？！｣

｢ちょっとじっとしててください｣

そういうと、彼女の左手が、俺の額に伸びてきて、そっと触れた。

慣れないことに、心臓がドクン、と跳ねて顔に熱が集まるのがわかった。

さっきの流れをくんで欲しい、かなり混乱している。

どうしたらいいか分からなくて、とにかく早く終われ、と目を瞑って願った。

｢…熱は、無さそうですね｣

そう言われてほっとして目を開けると、思ったよりも至近距離に顔があった。

｢…あ｣

赤い顔がさらに、ゆでダコのようになったいくのがわかる。

｢え、あ、ごめんなさい！｣

夏川さんも、俺の顔が赤い理由を理解したのか、さっと離れてくれた。

なんとか一呼吸つく。