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「いいですよ、別に。"なにか"あっても」
離れた距離が、また夏川さんによって詰められていく。
「ま、また、悪い冗談…」
「女性から誘われてるのに、そういう風に流すのはどうかと思いますよ」
「さ、誘っ?!」
こういう時、どうすれば正解にたどり着けるんだろうか。
「助けてもらいましたし、そのお礼ってことでも。…あ、さすがに6も年上だとそういう気起きません?」
「そんなことないです…けど!いやそうじゃなくて!!」
なんだか、夏川さんが変だ。
真面目に言ってるように見えるのに、どこか悲しそうな目をしている。
「ならよかった」
そう言って、彼女が顔を近づけてくる。
俺の中の天使と悪魔が戦っている、そんな弱い意志でいいのか!と自分を叱咤する天使と、本人がいいって言ってるんだし、と誘惑する悪魔。
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