さよなら、花嫁。

俺の頭の中で、戦いに戦いまくった末ー…

俺は、夏川さんの肩を、ぐいっと押した。

｢…ダメです｣

そういった時の彼女の顔は、泣きそうになっていた。

｢なんで、ですか｣

｢なんでって…｣

｢たった一晩ですよ。ラッキーって思って抱けばいいじゃないですか、こんなこと、人生にそう多くないですよ｣

ー…なんだか、少し子供みたいな人だ。

そんなふうに思いながら、俺は緊張しながら彼女の頭を撫でた。

｢俺、夏川さんのこと、悪い人じゃないって思ってます。だからこそ、自分のこと大切にして欲しいんです。あなたからみたらこんな子供の俺に、なにか起こってもいいなんて、言わないでください｣

彼女はその言葉に、項垂れた。

｢…いいんです｣

｢え？｣

｢自分を大切に…とか今更なんで｣

顔を上げると、瞳に涙を溜めてー…でも、泣かないようにこらえながら、言った。