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今どき、そんなことがあるのか、と思った。
「だから、自分のこと大切にするなんて、今更なんです。本当は結婚なんてしたくないけど、逃げ出す勇気もなくて。だから…塩生さんと…したって何も変わらないんです」
泣きそうだった。
声が、震えていた。
俺はやっぱりまだ子供で、こういう時にどう声をかけるのが正解なのかは、わからない。
でも。
「だからって、自分を否定する理由にはなりませんよ」
少し、嫌だと思った。
夏川さん自身が、自分自身の存在を否定してることが。
「ー…ねぇ、夏川さん」
俺は今、できる限りの笑顔を作った。
「俺、多分夏川さんのこと好きです」
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