さよなら、花嫁。

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「…最初から思ってましたけど…塩生さんってやっぱり変わってますよね」 彼女は零れそうになっていた涙を、そっと拭った。 「言ったでしょう。俺はお人好しなんです」 「お人好しにもほどがあります。きっといつか痛い目に遭いますよ」 「もうあってます」 好きになっても報われない人に出会ってしまって、今それを実感している。 全て、自分のお人好しが招いたことだ。 「…でも、それが塩生さんなんだろうなって思います」 「自分でも、そう思います」 夏川さんは食べかけの塩パンを無理矢理に口に入れた。 急に何をしているのかと見ていると、少し寂しそうに笑いながら言った。 「ここに、私を置いていかないことにしました」 「好きだと言っているのに?」 「好きだと言っているからです」
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