さよなら、花嫁。

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「私が残っていると、思い出してしまうでしょう?きっと私が同じ立場だったら、そうなります」 塩パンのビニールをぐるぐるに丸めて、近くにあったゴミ箱に捨てた。 「こんな感じで、この一晩を出来事は捨てて頂いて構いません。結婚を嫌がっていた私は今、このビニールと一緒に捨てました」 「俺が知っている夏川さんはいないと」 「そういうことですね」 彼女は俺と近かった距離を離して、ため息をついた。 「だから今、あなたを好きになりかけていた私も捨てたので、ご心配なく」 「それは少し惜しかった気がしますね」 「そのまま捨ててくださいよ。一度取り出したら、意味なくなっちゃいますから」 「わかってますよ」 ー…あえて、明るい会話だった。 お互いに、冗談のように好きと言い合った。 それが、俺たちの形だとでもいうかのように。
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