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その日は、東京に出てきて始めての台風到来の日で。
夜遅くまでバイトを入れていた俺は、雨風ひどい中、ぼろぼろの使い物にならなくなった傘をさして歩いていた。
家に帰ったら、お風呂に入って、もらった賄いを食べて、課題で出ていたレポートを進めてー…
そう、思っていたのに。
公園のベンチに傘もささずに座る一人の女性を見つけてしまって。
「ー…どうしたんですか?」
「え…?」
いや、もちろんスルーしようともした。
でも、台風はこれからひどくなると言っているし、傘も持っていないし、よく見たらカバンすら持ってなくて。
俺の良心が全力で足をそちらに向けたのだ。
というか、まさか話しかけられると思っていなかったのか、女性もびっくりしていて。
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