さよなら、花嫁。

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彼女と距離をあけて、ソファに座った。 俺も自分の分のコーヒーを啜った。 「…別に、言いたくないなら、何も言わなくていいですよ」 「え」 「さっきから、なんか言わなきゃって顔してますから。何も聞きませんよ。ただ、台風ひどいんで、今晩は泊まっていってください。一応客用布団もあるんで」 俺がそういうと、彼女はこくんと頷いた。 ー…やっぱり、悪い人には見えないんだよな。 こういう考え方が、お人好しなんだと思うけど。 「あの…お名前、名字、なんて読むんですか?」 「名字…?あぁ、しおう、ですよ。表札見たんですか?」 「はい…変わった漢字だったので、気になって」 俺の名字は、塩生と書いてしおう、と読む。 確かに、最初は少し不安になるかもしれない。
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