はじまり

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まずは僕から話そう。 僕と君との出会いのはじまりを 僕が君と出会ったのは、大学1年生の春。 大学1年生の春、だなんて、曖昧な表現になってしまうのは、いくつか理由がある。本当なら、入学式で初めて君を見た時に!とか、教室で自己紹介をした時に!とか、きっと出会いのシーンの回想になるんだろうけど、僕と君の出会いにそんなロマンチックなシーンは存在しない。 後から聞いたけど、君は入学式にちゃんと出席していたし、もちろん僕も入学式にちゃんと出席していた。だから、もしかしたら入学式で君と僕が出会っていたかもしれないけれど、現実には君と僕は出会ってはいない。 そして、その後のクラスに分かれてからの自己紹介の時も出会ってはいない。 君と僕の出会いが、運命の出会いか、そうでないかは別にして、君と僕が出会わなかったのには、然るべき理由があり、そして、然るべき理由の前では大抵の運命や偶然なんて曖昧なものは太刀打ちする事が出来ない。 入学式の時、僕は君を見つけられる状態じゃなった。なぜなら、君と僕が一緒に入学式に出席している時、僕の意識レベルは3桁に近かったろうし、5感から入ってくる情報はフィルターを通したみたいに情報量が減っていた。 ただ、言い訳をさせて欲しい。僕が大学の入学式に正常な状態で出席出来なかったのには理由がある。
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