出会い

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先輩による学校案内のグループ分けで、私は君と同じグループになった。 私以外の2人の女の子は、1人が先輩と、もう1人がやたらイケメンの男の子にべったりで、君と私が残っていた。 君のことは少し「面白いな」とは思っていたけど、馴れ馴れしく私から話しかけて、私の前のイケメンにべったりの女みたいに思われるのも馬鹿らしいので、私は真面目に先輩の案内を聞いていた。 すると君の方から「はじめまして、タツノリです。」と声をかけられた。君は緊張し易い性格なのか緊張で声がうわずっていた。 私は思わず小さく笑ってしまい、笑った事をごまかそうと慌て「さっき教室で自己紹介して貰ったから、初めましてじゃないでしょ」と言ってしまった。 本当は、ちゃんと自己紹介を聞いていたって事を伝えたかったのに、私の口から出た言葉はキツイ言葉で、私はやってしまったと思った。 しかし、君は私の言葉を聞いて、「はじめました、タツノリです」ともう一度話しかけてくれた。 「はじめまして」じゃないからって「はじめました」って、冷やし中華じゃないだから、と思いながらも、自己紹介をしてくる君を見ながら、教室で緊張しながら自己紹介をしていた君を思い出して、きっと他の人の自己紹介もあんまり覚えてないんだろなと思った私はもう一度君に自己紹介をした。 「君、私の自己紹介覚えてないんでしょ?私は佐々木彩華、君と同じ18歳。苗字で呼ばれるのは好きじゃないから苗字じゃなかったら同い年だし好きに呼んで。」と言ってから、また後悔した。わざわざ「私の自己紹介覚えてないでしょ」なんて言わなくて良いのに私の口は余分な一言をひとりでに言ってしまった。
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