出会い

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君は中々鋭かった。 僕は自分の自己紹介にいっぱいいっぱいで、君の自己紹介を聞いていなかったから、それを隠すために僕が自分から自己紹介をすれば、きっと君もつられて自己紹介をするだろうと思って、もう一度自己紹介をした。 しかし、自己紹介を聞いていなかった事はあっけなくバレてしまい、君は自分の自己紹介を聞いていなかった僕のためにもう一度自己紹介してくれた。 僕は気まずさを感じながら 「ごめんね、自分の自己紹介で頭がいっぱいでー、でも僕は老け顔だから年上に見られる事が多いのに、良く同い年って分かったね?」 と君に答えると、 君は少しだけ得意げに 「私は君と違ってちゃんと君の自己紹介聞いてたからね」 と僕に言った。 君の少しだけ得意げな表情を見て、ちょっとだけ僕は嬉しかった。 緊張してながらの自己紹介だったけど、ちゃんと聞いていてくれた人がいて、ちゃんと覚えていてくれた人がいて、それが嬉しかった。 だから僕は君に 「ありがとう」 と言うと、君は少しだけ驚いた顔をして、僕に 「君は変わってるね」 と言った。 僕は何を言われたかよく分からなかったから、君にどういう意味か聞いても、君は可笑しそうに笑って、 「なんでもないよ」 と言うだけだった。
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