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私が自分の気持ちをキツイ言葉にしか変換してくれない私の口を恨んでいると、君はすぐに
「ごめんね、自分の自己紹介で頭がいっぱいでー、でも僕は老け顔だから年上に見られる事が多いのに、良く同い年って分かったね?」
と話しかけてきた。
私と初めて会う人は、私のキツイ言葉にたじろいだり怯えてしまう事が殆んどで、私は今まで何人ものそういった様子を見てきたけど、君は全く気にした様子もなく普通に話していた。
私が自分で言ったキツイ言葉を気にしているのに、君は気にないどころか、そのまま会話を続け、自分の老け顔の事を話し始めた。
確かに君は落ち着いた雰囲気と合わさって年上に見えるが、別に老け顔というほどでもないし、不細工という事もない。
そして、君の自己紹介を聞いていたので君が私と同じ18歳だということも当然知っていた。
「私は君と違ってちゃんと君の自己紹介聞いてたからね」
と、また必要以上にトゲが好きな私の口から出た言葉はキツイ言葉だった。
でも、君の答えは一言、
「ありがとう」
だった。
「自己紹介をちゃんと聞いてくれて、ありがとう」
という意味だと分かったけど、私は驚いてしまった。
もしかしたら君は私の言葉にとらわれないで、私が伝えたい気持ちを理解してくれているのかもしれないと、私は勝手に思ってしまった。
本当のところは分からないけど、少なくとも君が私のトゲだらけの言葉を気にもせず、ちゃんと私と話してくれたという事実に変わりはない。
他の人にとっては、たったコレだけの事かもしれないけれど、私の心がどれだけ軽くなったかは君にも分からないと思う。
君は変わってる。
「君は変わってるね。」
私の口がまた勝手に動いた。
たまには私の口もちゃんと仕事するじゃないか。
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