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「そう言えば、ホラさっき上村さんのメモがあったろ。その中に気になった言葉があるんだ」
叔父の言葉を聞き、手にしていた物を見た。
「ロートエキス、ハシリドコロの入った目薬。今はない。それ何?」
「ハシリドコロって植物だ。ロートコンの成分はヒヨスチアミンとスポコラミンでアルカロイド系猛毒なんだ」
「あれっ目薬は何処かで聞いたことがある。確か、女性のお酒の中に入れて足腰立たなくさせるんだったよね?」
「瑞穂、何処で聞いた?」
「ネットだよ。ガラケーのサイトは封鎖されつつあるけど、まだ調べられるんだ」
「又何でそんな犯罪がらまりの項目を調べるんだ?」
「興味本意だったんだ。そうだよね、そんなこと調べちゃダメだね」
「解ればよろし。さて、本題にいくか?」
叔父は依頼の全てを探偵ノートに書き込んだ。
「『その子の事はコイツと良く相談するんだな』ってあの日和也さんは言っていたんだ。でも本当に上村さんの子供なのだろうか?」
俺の疑問はそこだった。
だから素直に気持ちをぶつけることにした。
「和也さんが恋人だったから、水村さんはお腹にいる子の父親だと思ったんだよね。それなら何故和也さんはその子の父親を上村さんだとしたのだろうか?」
「そうだよね。うん、確かにおかしい」
「あの日、水村さんは和也さんを待っていたんだ。階段の足音を確かめるように目を瞑って」
「さっきの水村さんを見て、本当に可哀想になった。子供が出来たことを喜んでいたのかも知れないな」
「まさか流産するなんて考えもしなかったんだろう。しかも相手の男性が殺人犯だったなんて」
「なぁ、瑞穂。俺は出来る限りのことをしてやりたいと思ったんだ。だから協力してくれ」
まだワンピース姿の俺は黙って頷くしかなかった。
此処に高校生のアルバイト女装探偵が誕生した。
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