夜々のコンビニ、夜々のモノノ怪

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 田んぼ道にぽつんとある店――俺が働くこのコンビニは少し変わっている。 「よう、彼女出来たか?」 「こんばんわ、今日も眠そうねぇ」  こう話しかけられるのはここが片田舎で来る人が決まっているからか常連さんばかりで気楽と言えば気楽である。  今は夜――丑三つ時。  ほとんどの人間は、夢を見ている時刻。  そして起きているのは、モノノ怪。 「――気狐(キコ)様、これタマネギ入っとるんで他のがいっすよ」  狐のモノノ怪、訂正、狐の客に俺は注意する。 「小僧、米はどこだったかな」 「いっちゃん左の棚のいっちゃん下にあーですよ」  狸の客は俺を小僧と呼ぶ。  夜を纏う町にぽつんと灯るコンビニの灯りに惹かれてくるのは人間ではなく、この時間、妖怪達御用達の店になる。
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