第1章 (2)ヴァロンside

1/10
40人が本棚に入れています
本棚に追加
/484ページ

第1章 (2)ヴァロンside

〈回想シーン〉 【ヴァロン7歳/闇市場】 ザワザワした暗い地下にある会場。 正規でない方法や価格における取り引きが行われる市場。 俺は、商品として競売にかけられる。 金に困った母親に、売られた俺。 突然変異で生まれた珍しい容姿で注目を浴びた。 不気味がる人もいれば、見方を変えれば美しいと思う変わった奴等もいる。 珍しい人間には珍しい力があると信じて望む奴等や、その臓器や血が不老不死に役立つと馬鹿な考えを持つ奴等もいる。 狭い檻に入れられた競売の順番待ちの最中。 俺は別に絶望もしなければ、希望もなかった。 助けてと叫ぶ事もしない。 母親と引き離される時も、抵抗もしなかった。
/484ページ

最初のコメントを投稿しよう!